パナソニック(松下電工株式会社)は、高耐圧タンクを採用しシャワーの勢いを強めたエコキュート「KU/WUシリーズ」を、7月1日より発売する。店頭予想価格は、薄型タイプのWUシリーズが976,500円/882,000円(タンク容量460L/370L)、標準タイプのKUシリーズが、892,500円/819,000円(同)。
エコキュートは空気中の熱を使ってお湯を沸かすCO2冷媒給湯器の総称。本製品では2カ所で同時に給湯しても、勢いのあるシャワーが楽しめることを狙った製品。同社がガス・石油給湯器からエコキュートへと切り替えたユーザーに対して行なったアンケートでは、2カ所同時に使用した場合でも湯温と湯量に安定感があることを評価する声が多かったものの、一方でシャワー使用時の水の勢いに不満を抱く声も多かったという。
そこで本製品では、貯湯ユニットのタンクを、高い圧力にも耐えられる仕様へ改良した。これにより、給湯圧力は従来製品の170kPa(キロパスカル。圧力を現す単位)から、その1.6倍となる280kPaにアップ。1分当たりのシャワーの水量は、従来製品よりも約2L多い約14Lとなり、また従来までは利用できなかった3階でも使えるようになった。
「エコキュートなどに使われている貯湯タンクは、水道から届けられる水の圧力に直接耐えられないものが多く、一旦減圧してからタンクに湯を貯めていた。新製品では各部分にかかる応力をシミュレーションで計算し、本体上下の鏡板や胴板を厚くした」(松下電器産業株式会社 ホームアプライアンス社 エアコンビジネスユニット ビジネスユニット長 藤原克彦氏)
|
|
|
ユーザーからはシャワーの勢いを不満とする声が挙がったという
|
従来のエコキュートは、湯温は安定しており、2カ所で同時使用した場合でも湯量の変動は少ないが、シャワー時の水量が少なかった
|
そこで本製品では、シャワーの勢いを強め、さらに2カ所で使用しても変動が少なくなった
|
|
|
|
圧力が高くても耐えられるよう、貯湯タンクの強度をアップした
|
貯湯タンクのカットモデル
|
これにより、パワフルな水圧のシャワーが楽しめるようになったほか、従来は難しかった3階での使用も可能になった
|
|
|
|
1階での使用した場合の、従来製品とのシャワーの違い。新製品では天井を貫くように勢いよく水が吹き出している
|
こちらは3階で使用した場合の旧製品との比較。従来製品は天井まで水が届いていない
|
松下電器産業株式会社 ホームアプライアンス社 エアコンビジネスユニット ビジネスユニット長 藤原克彦氏
|
また、省エネ性能も向上した。屋外に設置するヒートポンプユニットでは、水冷媒熱交換機の口径を細くすることで冷媒の流速を速め、ディンプル(くぼみ)を増やして水の攪拌効果を高めるなどの改良を行なった。これらにより冬期の効率を約3%改善した。一方、貯湯ユニットでは、松下グループ独自の真空断熱材「U-Vacua」の使用面積を増やすことで、保温効果を10%アップした。製品全体でのAPF(年間給湯効率)は、従来製品の3.1よりも0.2ポイント高い3.3となっている。
リモコンでは、台所用の液晶画面を、従来のホワイトバックライトよりも見やすいという蛍光管タイプに変更。浴室用では液晶の表面積が約1.5倍に増えている。いずれもフルドット表示で、1日当たりの平均使用湯量を表示するといったこともできる。
このほか、1階での湯はり時間を、従来の約13分から約12分に短縮している。
下位機種として、従来製品よりも高さと重量を低減した「Kシリーズ」も同時に発売する。重量は「業界最軽量」を謳っており、搬入・設置に配慮したコンパクト設計となっている。価格は645,750円~803,250円。Kシリーズの貯湯タンクは高耐圧仕様ではない。
|
|
|
室外に設置するヒートポンプユニットのカットモデル
|
水冷媒熱交換機を進化させ、冬期のの効率を従来比で約3%向上した
|
ディンプルの数を増やすことで、水の攪拌効率を上げている
|
|
|
|
貯湯タンクでは、断熱材の使用面積を約1.6倍に増加
|
APF(年間給湯効率)は3.3。杉の木40本が吸収するCO2を削減できるという
|
リモコンはフルドットの蛍光管表示を採用
|
|
|
|
KUシリーズ
|
薄型のWUシリーズ
|
業界最軽量を謳うKシリーズ。高耐圧タンクは採用されない
|
松下電工株式会社 オール電化営業推進本部 執行役員本部長の飯間政二郎氏は、家庭でのCO2排出量の約1/3が、給湯によるものだというデータを公開したうえで「エコキュート導入によって給湯の省エネを図ることは、地球温暖化防止の観点から非常に重要であり、課題解決の要となる」と語った。2008年度は、エコキュートによって約20万トンのCO2削減につながる見込みであるという。
飯間氏はエコキュートの導入が見込まれるオール電化住宅の動向も言及した。飯間氏によると、2007年度は新築着工数は全体で減っているにもかかわらず、オール電化住宅は堅調に数字を伸ばしており、特に既築需要で好調だという。飯間氏は今年度の目標として「既築市場に積極的に取り組んでいく」と語った。また、IHクッキングヒーター・床暖房といったオール電化製品全体の目標として、2010年には現在の2倍以上の販売を目指すとした。
|
|
家庭の消費エネルギーの約1/3は給湯が占めるというデータ
|
2007年度は新築着工住宅が減るなか、オール電化住宅は確実に伸びている
|
|
|
|
2010年には、オール電化関連製品の売り上げを、現在の2倍に伸ばすという
|
松下電工株式会社 オール電化営業推進本部 執行役員本部長 飯間政二郎氏
|
今回からパナソニックブランドの商品として扱われる
|
■URL
松下電工株式会社
http://www.mew.co.jp/
ニュースリリース
http://www.mew.co.jp/corp/news/0804/0804-5.htm
■ 関連記事
・ ナショナル、マンションに対応するコンパクトなエコキュート(2007/04/05)
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/04/07 18:13
- ページの先頭へ-
|