ライオン株式会社は、揚げ物を再加熱する場合、電子レンジを使用することでコレステロールなどの脂質を溶出できることを確認したと発表した。
これは、ライオンのリビングケア研究所が行なった、電子レンジ用の加熱用シートの研究にて明らかになったもの。油分は加熱されると粘度が落ち、食品から流れ落ちやすくなる傾向があることから、同研究所ではマイクロ波によって食材の内部まで温める電子レンジが有効であると判断。鶏の唐揚げを電子レンジで加熱した際に溶出した油について分析を行なった結果、鶏肉の脂質であるコレステロールが検出されたという。
このことから、揚げ物の油分を控えるには、温め直しに電子レンジを使うことが有効としている。
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食材の油は加熱する温度が高いほど落ちやすい。研究では、電子レンジで鶏肉の唐揚げを加熱したところ、コレステロール量を約半分落とすことができた
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また同研究所では、電子レンジで加熱する際に、吸収性のあるシートを敷くことで揚げ物から油を取る効果が高くなることから、油の吸着効果の高いシートの開発も行なった。
まずは、繊維間に距離がある「立体不織布」と、距離の小さい「抄紙」を、それぞれ食材の下に敷き、油の吸収性能を比較する実験が行なわれた。この結果、立体不織布では、繊維の間のスペースに油が付着するため、吸収量が抄紙よりも約2.5倍多く、また大量の油を1カ所でまとめて吸い込める特徴があったという。
さらに、立体不織布にエンボス加工(紙に凹凸を付ける加工)を行なったところ、油の拡散性が向上し、吸着量が増加する結果となった。特に、エンボス面積をシート全面に対して約4割行なった場合、効果が最も高かったという。なお、エンボスの形状は、ハニカム状(ハチの巣のような六角形の形状)が最も効果が高いということも確認されている。
同研究所ではこの結果を受け、ハニカム状のエンボス加工が施された立体不織布を、コロッケと鶏の唐揚げの下に敷いて温め直したところ、揚げ物に含まれる脂質量を約20%、コレステロール量を約10~20%除去できることが確認できたとしている。
ライオンでは、これらの技術を応用した電子レンジ用シート「リード チンして油を吸いとるシート」を、3月26日より発売する。
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「立体不織布」と「抄紙」では、繊維間の距離の違いによって、油の吸収量に差が出る
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エンボス面積は広ければ吸着量が多いというわけではなく、全体の面積の4割程度がちょうど良い
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エンボス加工は六角形の「ハニカム」形状が最も吸着量が多い。コロッケと鶏の唐揚げでは、脂質量を約20%、コレステロール量を約10~20%除去できるという
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■URL
ライオン株式会社
http://www.lion.co.jp/
ニュースリリース
http://www.lion.co.jp/press/2008011.htm
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/02/05 17:57
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