松下電器産業株式会社は、10日に行なわれた2008年度の経営方針の説明会にて、社名を「パナソニック株式会社」に変更する方針を発表した。6月下旬に開催される株主総会にて定款変更が承認された後、10月1日付けで変更される。
10月の名称変更後、生活家電・住設関連機器のブランドとして使用していた「ナショナル」ブランドを廃止し、2009年度を目処に、AV機器や海外向け製品のブランド「パナソニック」へと統合される。また、子会社で「松下」「ナショナル」が付く企業や、特約店「ナショナルショップ」も、「パナソニック」を冠する名称へと変更される。一例では、住設関連機器を取り扱う「松下電工」は「パナソニック電工」となる。
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松下電器産業 代表取締役社長の大坪 文雄氏
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松下電器産業 代表取締役社長の大坪 文雄氏は、「パナソニックという1つの名前・ブランドのもと、グループがさらに強く結束し、パナソニックブランドの価値を向上させること」が目的と説明。大坪氏は「松下のブランド価値がここ2~3年で思ったより伸びていない」と話し、その原因は、“松下”“ナショナル”“パナソニック”の3つのブランドに分かれていることにあると分析している。「社名やメジャーなブランドがいくつもある企業はまれだ。(現在の状況では)若干ローカルなイメージがある」ことから、3つに分かれていたブランドを「パナソニック」に統合。「グローバルエクセレンス(国際的な優良企業)に挑戦する会社にする」と意気込みを語った。
“松下”、“ナショナル”を外すことについて、大坪氏は「長年、お客様やお得意様とともに築いてきた“松下電器”という名前、“ナショナル”ブランドは、私たちだけのものではない。手放すのは大きな決断だった」と、苦渋の決断であったことをのぞかせた。創業家出身の松下正治名誉会長と松下正幸副会長に対して、名称変更を打診した際には、「説明したその場で“松下の発展のためになるいいことだ”とサインをいただけた」というエピソードも披露した。
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社名の統一は2008年10月1日に行なわれる
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「松下」「ナショナル」という名称は廃止となり「パナソニック」に統合される
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なお、創業から掲げる「企業は社会の公器」「全ての活動はお客様のために」「日に新た」といった経営理念には変更はない。大坪氏はこれについて、「名称変更で理念が風化することがないように徹底させたい」としている。
社名変更に関わる費用は、名義変更や看板の変更などにより概算レベルで「1~2年で300億円前後」(大坪氏)。「今まで松下電器という名前で行なってきた寄付や、ナショナルブランドに対する宣伝投資を併せると200億くらいかかっていた。これをパナソニックに投入できる」と、コスト面でのメリットも強調した。
■URL
松下電器産業株式会社
http://panasonic.co.jp/
ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080110-4/jn080110-4.html?ref=news
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/01/10 20:00
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