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三洋、白物家電事業の撤退を否定

~中期決算報告は黒字転換

会見の模様
 三洋電機は、2010年度を最終年度とするグループ中期経営戦略「チャレンジ1000」を発表した。

 同社・佐野精一郎社長は、「三洋電機が、2010年に、グローバル企業として完全復活するための経営計画」とするとともに、「環境・エナジー先進メーカーへの変革に向けて、信頼の回復、高収益企業への基盤確立を目指す」と宣言。具体的には、2010年度の連結売上高必達目標2兆2,500億円、同チャレンジ目標2兆5,000億円としたほか、連結営業利益の必達目標を900億円、同チャレンジ目標1,000億円以上とすることを明らかにした。

 また、「約1,000日間で、すべての継続事業において収益事業化を目指す」、「強化部門における技術者を、従来の2倍とする1,000人を、3カ年で新規採用する計画」も明らかにした。


三洋が発表した中期経営目標「チャレンジ1000」
2010年度の経営目標

 チャレンジ1000の計画説明のなかで佐野社長は、「私は、白物事業から撤退するということは毛頭考えていない。国内家電事業において、赤字体質から脱却するとともに、AQUAに代表されるような独自技術を生かした環境配慮型製品を、国内だけでなく、グローバルに展開していくことで、今後は収益事業化に向けた施策を推進していく」とした。

 白物家電事業では、営業部門の効率化の推進や、既存チャネルの強化、流通大手との共同開発などを推進していく姿勢を見せ、「明日、イオンとの提携を発表する。環境先進企業としての環境製品を共同で開発するほか、業務用分野でも提携していく」などとした。


環境・エナジー先進メーカーを目指す

 チャレンジ1000の前提となるマスタープランでは、中期経営計画の策定による明確な経営目標の設定のほか、全社戦略に基づいた投資の選択と集中、完成品事業の収益力向上および海外展開の強化による体制構築、キャッシュフロー経営の徹底による健全な財務体質の維持を掲げた。

 また、佐野社長が、「総合家電メーカーには固執しない。環境・エナジー先進メーカーへの変革が目標」とするように、環境・エナジーという観点から事業群を再編。エナジー事業領域として「二次電池」および「ソーラー」を、エコロジー事業領域として「コマーシャル」および「白物家電」を、エレクトロニクス事業領域として「デバイス」および「デジタル」を、それぞれ位置づけた。


チャレンジ1000の前提となるマスタープラン策定のポイント エナジー・エレクトロニクス・エコを3Eとして、事業群を再編する 3Eの事業領域の復活をめざす

現在の事業群を再編
今ある事業区分を、3Eで分ける

 また、部品事業領域である「二次電池」、「ソーラー」、「電子部品」については、今後3年間で予定している約3,500億円の設備投資のうち、約7割にあたる約2,400億円を投資する考えを示し、「設備投資戦略、技術開発戦略、CRM戦略を3つの柱として、収益成長を目指す」と語った。


品事業領域の事業戦略
設備投資の約7割を収益事業へ集中させる

二次電池事業の事業戦略
ソーラー事業の事業戦略
電子部品事業の事業戦略

完成品事業の停滞はカンパニー制に問題

エナジー事業領域
 エナジー事業領域では、2007年度に約4,000億円の事業規模を、2010年度には約6,000億円の大幅な成長を計画。

 世界トップシェアのリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッカド電池の強みを生かすとともに、ハイブリッド自動車用二次電池(HEV)事業を2010年以降に本格的に立ち上げることを目標に、約1,000億円の重点投資を実施。

 2015年度には、HEVにおけるグローバルシェアで40~45%の獲得を目指す。また、ソーラー事業においては、単位面積あたりの変換効率が世界ナンバーワンとなるHIT太陽電池において、3年間で800億円を投資することにより、現在の2.5倍となる650メガワットの生産能力を整え、事業拡大を図る一方、来年4月には、家庭向けの次世代薄膜シリコン系第3世代太陽電池を開発するための次世代太陽電池開発センターを岐阜に新設。2010年には、ソーラー事業の連結売上高を2倍以上に拡大する計画だ。

 エレクトロニクス事業領域では、2007年度見通しで9,500億円の事業規模を、2010年度には1兆2,000億円とする。

 事業売却を断念した半導体事業においては、事業の効率化およびアナログ系半導体を中心とした独自技術の追求により、今後3カ年で100億円の増収、100億円の営業利益確保を目指すという。「社内の半導体調達率は現在は6%に留まっているが、これを2010年には20%に高めるほか、しっかりとした収益基盤を確立する」とした。


エレクトロニクス事業領域
半導体事業領域

デジタル事業の事業領域
 また、デジタル事業においては、画像処理エンジンの独自性を生かしたデジカメのOEM生産が過去最大規模となる年間1,500万台へと拡大したことに触れるとともに、北米市場においては、米ウォールマートとの協業によるテレビ事業の販売拡大を見込むという。「世界最短焦点距離プロジェクターの開発や、世界初ワンセグ搭載ポータブルナビといった特徴ある商品が、競争力の源泉になる。デジタル事業群を再編・集約することで、リソースの有効活用と新規製品の投入を図る」という。

 エコロジー事業領域では、2007年度見通しで5,500億円の事業規模を、2010年度には約6,000億円へと拡大する。

 コマーシャル事業においては、吸収式空調機やGHPエアコン、スーパーショーケースなどの業界トップシェア商品により、国内市場での事業拡大を図るほか、中国などの海外成長市場における事業拡大に取り組むという。

 白物家電事業では、「水や空気、あるいは省エネといった強みが発揮できる事業領域であり、オンリーワンともいえる独自の環境関連技術を生かす。世界的な環境意識への高まりのなかで、海外での事業拡大が期待できる」とした。


エコロジー事業領域
コマーシャル事業の事業戦略 白物家電事業の事業戦略

 デジタル、コマーシャル、白物家電で構成される完成品事業群では、「グローバル競争力の向上」、「国内事業の効率化追求」、「マーケティング・商品力強化」を重点戦略とし、国内の完成品事業は、2010年度には2007度比横ばいの3,600億円とする一方、海外は2007年度の3,700億円から5,700億円へと、54%増の成長を計画している。

 「完成品事業がシュリンクしたのは、カンパニー制に問題があることを確信した。技術リソースを持っていながらも、それを自らの目線で判断したことで、しっかりとマーケットインができていなかったことに原因がある。その結果、競合他社に先を越され、収益が悪化した。これを改善すれば、売上、利益目標は必達できると感じている。目標達成に向けて販売責任を明確化することが必要であり、全社のマーケティング支援機能を集約するマーケティング本部を新設し、海外においては販売責任を負う海外営業本部を新設する。また、米州、欧州、中国、アジア、インド・中近東の主要販売地域に、本社役員クラスを常駐させ、各地域における完成品事業の販売責任を明確化する」とした。


完成品事業群 事業戦略
完成品事業群のグローバル販売拡大

 さらに、完成品の継続事業については、「チャレンジ1000のなかで、どこを強化するかといったことや、ある特定の地域で事業を縮小するという判断はあるだろうが、事業を売却するとか、撤退するといったことは考えていない」として、現状の事業体制を維持することを示した。

 なお、京セラへの事業売却交渉をしている携帯電話事業については、「携帯電話事業の出荷台数は1,000万台規模となり、年間の黒字化を目指しているところ。京セラの経営トップとの話し合いを進めており、しっかりと課題を詰めていく。年度内には決着をつける。相手があることなのでなんともいえないが、この案件をなんとしてでも成立させる」とコメントした。

 一方、三洋電機は、2007年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比0.4%減の1兆914億円、営業利益は50.3%増の238億円。また、税引前利益は243.0%増の241億円、当期純利益は前年同期のマイナス36億円の赤字から黒字転換し、159億円となった。


2007年度上期決算概要
経営状況の推移

 同社・佐野精一郎社長は、「減収増益の結果となったが、電池、電池部門が売り上げ、利益ともに牽引したことが大きい。また、売上高、営業利益、税引前利益、当期純利益ともに、公表値を超過達成した。通期見通しの達成や、マスタープランの実行につながる内容になった」と自己評価した。

 部門別では、コンシューマ部門の売上高が、前年同期比4.4%減の4,717億円、営業損失は前年同期のマイナス39億円の赤字から、マイナス4億円に回復したものの、赤字脱却はならなかった。

 コマーシャル部門は、売上高が3.5%減の1,291億円。営業利益は68.2%減の22億円。コンポーネント部門は、売上高が6.7%増の4,720億円、営業利益は24.4%増の358億円となった。

 なお、2007年度の通期連結業績見通しにおいて、営業利益を上方修正した。当初見通しの450億円を500億円としたもので、デジタルカメラや二次電池などの売り上げ増や、コスト削減、合理化効果などが見込まれるため。

 なお、連結売上高は、税引前利益、当期純利益は、「企業間競争の激化、価格下落に加えて、原材料価格の一層の高騰や為替の影響など、製造業を取り巻く不安要素がある」(佐野社長)として据え置いた。





URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  ニュースリリース「三洋電機グループ中期経営戦略『チャレンジ1000』について」
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0711news-j/1127-1.html
  ニュースリリース「平成20年3月期の中間期業績予想及び通期業績予想の修正について」
  http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0711news-j/1127-2.html
  ニュースリリース「中間決算報告書(PDF)」
  http://www.sanyo.co.jp/ir/library/pdf/financialstatements/fs-h20-1h.pdf


( 大河原 克行 )
2007/11/27 18:49

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