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経済産業省、製品安全に関するセミナーを開催


 経済産業省は、5月14日に施行される改正消費生活用製品安全法を受け、製品の安全な使用法や、リコール製品に関する情報提供や注意喚起を目的としたセミナー「製品安全点検日セミナー“第二火曜は火に注意”」を、東京・法曹会館にて開催した。

 同省では、頻発するガス機器の使用による事故を受け、2月23日にガス事故の防止強化策を発表。その中で毎月第二火曜日を「製品安全点検日」と制定し、同日に消費者を啓発するセミナーを行なうとしている。

 会では、製品事故の防止強化策の解説をはじめ、関連団体や有識者によるスピーチが行なわれた。





暖房機器を使わなくても、換気は必要 ―経済産業省

経済産業省 製品安全課長 渡邊宏氏
 同省の製品安全課長である渡邊宏氏は、2月23日に発表された製品事故の防止強化策の解説を行なった。

 強化策では消費者へ注意喚起として、今回のセミナーに加え、シンポジウムや新聞広告、市区町村による回覧板などを通じて告知を行なう。これから春を迎え、暖房機器を使わなくなる時期になるが、同氏は「真夏でも、冷房で窓を閉め切っているため、小型瞬間湯沸かし器の事故は多発している。換気は年中必要」と、この時期に対策を行なう意義を語った。

 他の業界団体も、機器の危険性を告知する。全国大学生活協同組合連合会では、ガス湯沸かし器の使用で大学生が死亡した事故を受け、大学の合格者すべてに郵送にて告知。またお年寄りの事故も多いことから、厚生労働省は全国の病院の待合室にもポスターを張り警告する。メーカーでは、広告やテレビCMで「死に至る危険性」を盛り込んだ告知を行なう。

 また、現存する機器についての対策として、メーカーが利用者に使用上の危険を知らせる頻度を増加。これまでは、都市ガスは3年に1回、LPガスは2年に1回の周知頻度とされていたが、これを年に1回とした。

 同省では、社団法人 日本石油ガス機器協会より報告された過去の事故について、メーカー名と形式名を記載したPDFを、13日にホームページに公開。過去のガス事故の情報公開を徹底する。





火が強まってしまう消火器も ―国民生活センター

国民生活センター 商品テスト部調査役 角村浩氏
 独立法人 国民生活センターの商品テスト部調査役の角村浩氏は、同センターの役割や、製品がどのように調査されているかを述べた。

 同センターは国民生活の安定・向上のため、生活に関する情報の提供及び調査研究を目的とした団体で、消費者からの相談を受け、商品や契約内容の調査を行なう。同氏は消費者から寄せられる相談の傾向について「製品に関する苦情が減っているわけではないが、サービスや役務に関するものが増えてきた」と語った。

 製品の調査を行なう団体としては、経済産業省が所管するNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)もあるが、同氏は「国民生活センターは、法律の外に漏れてしまったもの、生活に密着しているもののテストを行なう」と定義づけた。また、「一般の消費者の目で、なぜ事故が起こるか」をテーマに調査しているという。

 同氏は、国民生活センターが行なう2種類のテストを紹介。1つは、苦情相談から製品の事故原因を調査する「原因究明テスト」と、もう1つは、事故の情報が増えてきているジャンルの製品をテストする「問題提起型テスト」があるという。

 問題提起型のテストとして、スプレー式の簡易消火具を例に挙げた。現在ホームセンターでは、スプレーのように消化剤を噴射するタイプの消火具が販売されているが、これを使ったユーザーから、火が消えなかったという報告があったという。同センターでテストを行なったところ、輸入品では天ぷら油による火災が、かえって火が強まってしまうケースがあったという。国産の製品では検定をパスしていたため、多くの製品で消火できたが、輸入品では天ぷら火災が想定されていないため、消えなかったという。

 同氏は「海外のいろんな製品が入ってくると、身の回りには素性がわからない製品が多くなる。国民生活センターでそういった製品を見続けなければならない」と語った。





決して回収率を甘く見てはいけない ―日本石油ガス機器協会

 社団法人 日本石油ガス機器協会の岸智彦氏は、過去の石油製品の事故結果の情報を公開するとともに、石油・ガス製品の使用上の注意点を呼びかけた。

 同協会では、1月31日に過去のガス製品における事故結果を公表したことに続き、石油機器における重大事故の調査結果を公開。これについては同氏は、「今後事故の傾向やどういった場合に事故が起きたかを公表することで、早く解決してゆきたい」とコメント。続けて、昨年12月にリコール後20年経ち、回収率が80%を超えた製品で死亡事故が起きたについて触れ、「決して回収率を甘く見てはいけない」と語った。

 また、石油暖房機器の使用する際の注意点をパネルで紹介。その中で特に多い、タンク内の灯油の漏れや、使用中の換気、フィルター部の掃除の3点の必要性を訴えた。

 同協会では、3月は引っ越しシーズンということで、屋内のガス機器を安全に使用するためのチェックポイントを示した。比較的古い家屋に設置されているという強制排気式のガス給湯器では、(1)電源プラグが差し込まていること、(2)ファンが回転していること、(3)排気筒が屋外に設置されていることの3点を確認するよう指摘した。また、小型給湯器は、室内の空気を多く燃焼するため、(1)換気扇を回して換気すること、(2)お風呂のお湯張りやシャワーに使用しないことの2点を守るよう呼びかけた。

 ただし、排気筒が浴室内に付いているタイプの風呂釜では、台所や脱衣所の換気扇を使用すると、排気が逆流するという。その結果、一酸化炭素中毒を引き起こす可能性があるので、換気扇の使用を禁じている。


社団法人 日本石油ガス機器協会 岸智彦氏 「石油機器を正しく使う6つのポイント」として、パネルを公開した




「企業の社会的責任」よりも、「企業の社会的“無”責任」 ―信州大学教授 樋口一清氏

信州大学 経営大学院 教授 樋口一清氏
 信州大学経営大学院の教授を務める樋口一清氏は、メーカーの社会的責任の在り方を語った。同氏は長野県で消費者問題を取り組んでおり、消費生活条例の制定運動にも参加をしているという。

 同氏は冒頭で「トラブルが発生する中でさまざまな対策が強化されているが、消費者と行政、企業が共通の認識を持たなければ、なかなかシステムはうまく動かない」とコメント。この原因として「最近ではCSR(企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility)が叫ばれているが、これは明治時代や江戸時代から必要とされてきた。しかしなかなかうまくいかないところに問題がある」と訴え、「CSR」をもじって、「CSI(企業の社会的無責任=Corporate Social Inresponsibility,またはIndifferent)」が問題だと提唱した。

 これについて同氏は「聞こえが良いことを前向きなことを、企業のトップが繰り返してきた結果がこうなった。企業が社会的に責任を取らないことが一番問題」と語った。また、「アメリカのエンロン社は、CSRのお手本のような会社だったが、最終的には会社を撤退せざるをえなくなった」と、2001年に倒産した企業を例として挙げた。

 企業内の安全を育むポイントについては、「人間には自分に不利益な情報は隠したいという心理は必ずはたらく」とし、まず隠すことがないような社内システムを工夫することを挙げた。また、自社の組織の問題点を自覚し、責任の所在を明らかにすること、CSRのマニュアルを作っただけで満足しないことなどを、続けて指摘した。

 また、製品の安全を文化として根付かせることについて、企業と市場の信頼関係の強化、企業サイドからの情報発信の構造づくり、消費者の教育の3点を示した。企業側からの情報発信についての注意点として、氏が現在住んでいる長野県では「高齢者が多く、大企業で勤めている人も少ない」とし、「東京で決めたことが、日本全体では通用しないかもしれない」と苦言を呈した。

 最後に、'62年に当時のアメリカの大統領であったケネディが、消費者の利益保護を訴えた特別教書で、まず1番目に安全を求める権利を、2番目に知らされる権利を提唱したことを指摘。出席者に向けて「30年、40年も前にも、安全は一番大事だった。以後、日本や世界でも取り組まれてきたが、まだ事故は根絶されておらず、ごく基本的なことでトラブルが起きている。これは誰が悪いと言うことでもなく、社会に製品安全文化が根付いていない証拠。これがなぜ根付かなかったのかというのを皆さんに考えていただきたい」と語った。


 同省では、来月の第2火曜日に当たる4月10日にも、同様のセミナーを開催する予定。





URL
  経済産業省
  http://www.meti.go.jp/
  ガス消費機器に関する事故報告の概要の公表について
  http://www.meti.go.jp/press/20070313002/20070313002.html

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( 本誌:正藤 慶一 )
2007/03/14 00:01

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